ネパール植林支援とトレッキング その①

去年の12月6日から21日まで、ネパールに行って2度目の植林支援と20年ぶりのトレッキングをしてきた。
植林の支援

前回の2012年の3月来た時より更に激しくなっているようなカトマンズの喧噪を離れ、ランタン谷の入口トリスリに向かう峠道に来るとやっとまた来たのだという実感が湧いてくる。前回は一人で心細かったが、今回はJICAボランティアのKさんと40年来の山仲間Iさんが一緒で安心する。とくにKさんのネパール語は始めて8ヶ月とは思えないほどスムーズで心強い。カカニの丘でガネッシュ山群とタレントが登って話題になったマナスル山群が見えた。山を見るならポストモンスーンだと納得する。
カカニから下ると季節がもどってゆきトリスリ川の河畔には豊かな農地が拡がる。トリスリから川を渡ってしばらく行くとロクさんの新しい家。4F建ての立派な建物だ。周囲は植林をして20年も経つ森が拡がっていた。
植林2日目。ネパール式ウオッシュレットシステムに前回は悲壮な決意で臨んだが、今回はスムースにできた。歩いてカウレ村に向かう。植林リーダーのロクさん(59)と、スタッフのナムラジュ(25)、ディペンドラ(20)が一緒だ。標高差は1,000m程。建設中だったグンバ(お寺)は完成し祭壇が作ってあり仏像も3体制作中だった。春には開眼法要をやるという。午後は女性グループ5,6人と水やり。陽が入ると寒くなる。寝るのはグンバの1Fで、コンクリートの上に敷物があって、そこに登山用マットと寝袋で寝る。電灯もあって快適だ。
植林3日目。朝起きて近くの小学校まで散歩。7時から始まるクラスがあるらしく校庭の横の寄宿舎から制服を着た女の子が何人も出てきた。ネパール人は朝ご飯を食べない。日本人の我々はお茶とビスケットを食べて8時に午前中の水やりに出発。11時頃に帰ってきてダルバートの昼食、午後は1時から4時まで水やり。持って来たウイスキーが無くなったので夕方、上のバザールに買いに行った。急な石段を登ること15分。数十軒の家が並ぶかなりの集落だ。でもロキシーを売ってない。やっと捜した店でビールを2本買ったらRs.320。ナムラジュが友達の家に寄ってロキシーを手に入れてきてくれた。
植林4日目。カウレ村からマネガオンに下ってミンクマリおばあさんの家で昼食。ミンクマリさんはマネガオンの植林リーダーだったご主人が数年前になくなったが、植林スタッフの基地として家を提供してくれている。ここでの水やりは水量が少ない上に遠くまで水を運ぶので効率が悪い。おまけに村の人の手伝いはない。家に帰って、今夜はナムラジュとディペンドラが食事を作ってくれる。ククラ(ニワトリ)を1羽しめて肉入りのダルバートとミンクマリおばあさんの作ったロキシーで豪華な食事だった。
植林5日目。幸い腹の調子は3人とも大丈夫だが移動と水やりで疲れてくる。この日は麓のベトラワティまで下って、そこからバスでトレッキング出発点のドゥンチェに行って泊まり。1時間ほどでベトラワティの街。先に降りていたロクさんと合流。

昨夜、ナムラジュとディペンドラとKさんの通訳で遅くまで話をした。同年代の仲間は村を出てカトマンズや中東の国に出稼ぎに行ったりして自分たちの他に残っているのは”壊れた人”だけだという。そういえばマネガオンの水やりの帰り道、数人の若者が道の真ん中でガンジャ(大麻)を吸っているのを見かけた。自分たちもチャンスがあれば出稼ぎに行くかも知れないと。安倍先生が20年以上も援助を続けている植林活動は、いずれ村の人々が自力で継続することを期待してのことだが、大きな課題があると感じた。戦後の日本は、一次産業から二次産業に資源をシフトすることで物質的に豊かな社会を作ったが一方で家族や村落が形成していた共同社会を壊してしまった。同じ事がネパールで起きているように思える。リーダーのロクさんはともかく、植林の継続を2人の若者だけに託すのは酷なことかもしれない。

カカニの丘からのガネッシュ山群とマナスル山群

カカニの丘からのガネッシュ山群とマナスル山群

ツプチェ村 ロクさんの家から植林センターを見る

ツプチェ村 ロクさんの家から植林センターを見る

植林スタッフのナムラジュとディペンドラ、ミンクマリさん

植林スタッフのナムラジュとディペンドラ、ミンクマリさん

カウレ村の人たちが迎えてくれた

カウレ村の人たちが迎えてくれた

水をためたタンクからホースで水を引いてバケツに入れる

水をためたタンクからホースで水を引いてバケツに入れる

根元の土を流さないよう手をそえて水をかける

根元の土を流さないよう手をそえて水をかける

水やりに集まった村の人たち

水やりに集まった村の人たち

お昼ご飯はオムレツ付きのダルバート

お昼ご飯はオムレツ付きのダルバート

自家製のロキシー(よく作られている蒸留酒)を出してくれた

自家製のロキシー(よく作られている蒸留酒)を出してくれた

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